誰でもわかるRCA

千葉大学医学部付属病院
医療安全管理部 教授
相馬 孝博
「誰でもわかるRCA」の概要
RCA(根本原因分析)とは?

現在米国の医療機関でスタンダードとなっている、インシデント・アクシデント報告事例の原因分析と対策立案・実施・評価手法の事です。

またRCA法を用いた分析手法は日本国内の四病院団体協議会でも医療安全管理者研修の必須アイテムとなっています。

RCA(根本原因分析)では、出来事流れ図ごとにブレーンストーミングを繰り返し、さらに「質問カード」を手助けとして、根本原因がより広く追求されます。

この度、医療機関の職員の皆様がRCA法を用いた分析手法の基礎を習得する為の研修ツールとして、千葉大学医学部付属病院 医療安全管理部 教授 相馬孝博先生の著作・監修のもとeラーニング教材『誰でもわかるRCA -報告から分析へ』を作成することになりました。

米国の退役軍人病院(Veterans Affaires:VA)でRCA研修を受けた著者が、国内での豊富な実績をもとに、初めての医療職にも分かり易く解説した教材です。 また医療安全管理者が、多くの職員へRCAの研修を行う際にも便利な、ビジュアルなケーススタディを搭載しています。

医療安全活動の更なる活性化の為、eラーニング教材『誰でもわかるRCA -報告から分析へ-』をご活用下さい。
 
◆RCA分析(出来事流れ図、質問カード)による国内初・唯一の支援機能を搭載している「SafeMasterインシデント管理システム」については主要機能ページをご覧下さい。

「失敗から学ぶ」ことが大切です

人間は必ず失敗を起こします。医療者も人間です。多くの医療者が働く病院の中では、大きな医療事故につながりかねない出来事が日々発生しています。薬剤の間違い、転倒転落、治療の遅れ、手術関連の失敗や合併症、機器の間違いなど、人間がもたらす失敗は時や場所、職種を選びません。

医療安全への取り組みでは、病院の職員全員が多種多様の立場から、医療事故につながる事象を報告すること、すなわちインシデント報告が重要です。報告がなければ、失敗に対する改善を行うことができないからです。報告をもとに個人の責任を追求するのではなく、失敗の原因を組織の失敗としてとらえ、システムに対して対策を講じ、改善していくという考え方が大切なのです。

集められたインシデント事例の背景には、さまざまな根本原因がひそんでいます。「失敗から学ぶ」という視点から、その根本原因を適切な分析によって明らかにしなければなりません。各病院の状況に即した改善策を立案するためには、病院全体でその根本原因の解決に向けて取り組んでいく必要があります。

この医療安全教材「誰でもわかるRCA-報告から分析へ-」では、インシデントを分析するための手法の一つ、RCA(Root Cause Analysis=根本原因分析法)について解説しています。分析方法には多くの種類がありますが、RCAの本質は「ブレーンストーミング法による原因列挙」にあります。この基本さえ押さえておけば難しくありません。

こでは報告制度の重要性をはじめ、RCAの特徴、RCAの実際、事例を用いたケーススタディまで、RCA法の具体的なプロセスを理解できるよう構成しました。本教材をご利用いただくことによって、医療の安全が向上し、各病院の安全文化の醸成に少しでも貢献できれば幸いです

千葉大学医学部付属病院
医療安全管理部 教授
相馬 孝博

本コンテンツの特徴

■『誰でもわかるRCA ~報告から分析へ』は、インシデントレポート報告の意義、レポートの取り扱い方法、分析の意味など基本的な考え方を理解してから具体的な分析手法を学べる構成になっているため、初めてRCAを学ぶ方にもお勧めです。
■多くの職員に研修を行う際に便利な「ケーススタディ」も収載しています。

ご利用者様の声

■複雑なRCAが簡単に感じた。
■eラーニングなので勉強しやすかった。
■あいている時間に学べて便利。
■身近な事例でわかりやすい。
■イメージアイコン付きの「質問カード」が役立った

第1章 報告制度を理解する

第1章 目次
(1)「報告」から始まる
(2)「報告制度」の大切さ
(3)「報告制度」の基本
(4)「報告」から重要事例を探せ
(5)報告の具体例「ドッキリンの投薬エラー」

第2章 「分析する」とは?

第2章 目次
(1)「分析手法」って何?
(2)「分析する」の本当の意味
(3)ブレーンストーミングを用いた「なぜなぜ分析」
(4)分析はなぜ他職種で行うの?

第3章 分析手法のいろいろ

第3章 目次
(1)なぜなぜ分析
(2)SHELモデル
(3)4M-4Eマトリクス法
(4)RCA
(5)VTA
(6)FMEA(事前介入型の方法)
(7)どの分析法を使うか

第4章 RCA法の実際

第4章 目次
(1)RCAの位置づけ
(2)RCA-1.事例を把握する(出来事流れ図を作る)
(3)RCA-2.なぜなぜ分析
(4)RCA-3.根本原因の追究
(5)事例で「なぜなぜ分析」
(6)対策立案のポイント
参考1. なぜなぜ分析のコツ
参考2. 【質問カード】を使ってみる

ケーススタディ

ケーススタディ 目次
(1)事例紹介
(2)RCAの実際① 出来事流れ図の作成
(3)RCAの実際② なぜなぜ分析(ブレーンストーミング)
(4)RCAの実際③ 根本原因の追究
(5)対策立案

付録 質問カード(ダウンロード可)